どうということもない

どうということもないけど 忘れたくない

大学生はクソだ



外の空気を吸うと、冷たい外気が肺の中に溜まっていき、私の胸に募る寂しさと重なった。


寂しくて仕方なくて、寝不足に袴で歩き回りどうしようもなく疲れてボーッとしていた身体に、涙はなかなか出てこなかった。


カラオケボックスをあとにするとき、ほんの少しだけ頬が濡れたが、それは涙が汗か、アルコールを含んだ滴かもわからない。


彼らと私は、もう二度とここへは来ない。


激しく揺さぶられ、そして揺さぶり続けた私の学生生活は、あまりにも緩やかに、そして穏やかに終焉を迎えた。


カラオケボックスでいくら叫び倒しても、その声が時を遡ることはない。過ぎゆく時に合わせた怒号は、私の微かな抵抗だったが。虚しく時は過ぎた。3/23日と3/24日の間で、何かすごく大きな溝があるような。そんな気がした。嵌ってしまったら抜け出すことのできない、あまりにも大きな闇。どれだけ時間が過ぎようとも私の中で消えることがない深い深い分断。そこより前には戻らない。頼りない記憶を辿ってしか、情けない一大学生としての日々には辿り着けないのだ。


人生一度きりの大学生活は、恐ろしいほど長かった。

神様の悪戯を疑うほどに。尋常じゃない量の余暇をもらうと、人は何をすればいいか困る。


モラトリアムこそ真の拷問だったやもしれない。人間関係が苦手な私にとって、絶好のチャンスでもあったが、反対に凡そ苦行とも取れる側面もあった。


大学生はクソだ。

路上で飲むことを覚えたり、どうしようもない素行不良をひけらかしたり、高校の頃はあんなに好きだった文豪や英文読解にも見向きもせず、単位をズルズルと落とし、どうしようもない自分のどうしようもない自我と向き合うことすら億劫になり、そのくせ最後には、必死になって教授に頭を下げた。


この大学生という身分が始まってからというもの、向こう見ずな行動をしたら、何か成果として残ると勘違いしていた。

そのせいで過ちを沢山犯した。

過ちだらけの大学生活だが、それでも、こうして書いているだらけた文章を、誰か1人でも読んでくれているという事実こそ、私が遺せた成果に違いないのである。


22歳の春、私自身がまだこうも未熟で、ロマンチストだとは。5年前の私が見たら卒倒してしまうかもしれない。それとも、多感な高校生だった私は、馬鹿ね、と少し、笑うだろうか。


嗚呼、大学生よ。


我々は少しも学ばなかった。


煙に紛れて煙草を吸ったとて、存在が変化することなどない。


酒でいくら身体を溶かして消し去ろうとしても、なかなか溶けない。


私が君と、そして君たちと犯した過ちは、2度とは起こらないが、2度とは起きないということが誓われてしまった。


あーあ。私は今日もこんなクソみたいなポエム書きやがって。

でもこんなクソみたいなポエムを書く自分がどうしようもなく好きだし、若くてどうしようもない私は、愛すべき存在だと、どこか平行世界の私が言っている。



私はこの四年間で何人もの人に恋をした。

これを読んでいる君のことも、きっと好きだったことと思う。ありがとう。愛してる。


卒業おめでとう。

大学生は、クソだ。

だけど、間違いなく、最高だった。


amane