愛なんて存在し得ないのか
そこにあるのはただ一つの感情で
不合理に愛とつけて愛玩し
蝶よ花よと愛でている
愛を名乗れば何かのために
何でもしていいと思い込んでいる
やはり人間はとても馬鹿な生き物なのだと
教えてくれるこの作品は
得難いうつくしさと
理不尽さ、やさしさ、あかるさを
私たちにもたらす
決してくらさではない
いかなるときも最後は自分の意志だけが残る
他者など関係ないのだ
宝石の国がおわった
十二年も連載していたらしい
あっという間に私は大人になった……
なんでこんなに泣いているんだろう
見守り続けてた叙事詩が終わってしまったという喪失感と、とにかく安心感とで涙が止まらないことに気づいた
太古の昔
英雄譚を見守っていた人も
きっと終わりには同じ気持ちになっていたのだろうか
こんなにもつよい物語
かならず後世に語り継がれるべきだ
私たちの肉がなくなり灰ですらなくなるときも
そしてそのずっと未来 想像しえないような先の先でも
果てのない水脈として流れつづけるべきなのだ