どうということもない

どうということもないけど 忘れたくない

別れた話



八戸でイベントの打ち上げをした時のことだ。

「彼氏との関係、すごく悩んでるんだよね。あーんなに好き同士だったのに。

もう私のこと好きじゃないんだと思うわぁ

」と言ったら、小林司

「そんなん、別れればいいじゃん。若い頃の恋愛なんて、一生忘れないと思っても、すぐ忘れるんだよ。せっかく若いんだから、色々経験しなよ」と答えた。


実は想定外の回答だった。


ショックだったのだ。私はやっぱり、えー!まだ向こうは気持ちあるんじゃない?だとか、まだ諦める時じゃないよ!とか、まあそんな言葉を欲してたんだと思う。(そんなギャルな回答なわけないだろ)

でも、小林司に言われた言葉は、なぜか、私の中にスーッと馴染んでしまった。だけどまだ彼のことは諦めたくなかった。


次の日、世界ひろし、小林司、まめぴーさん、工藤あかりさんたちと、八戸の観光地を巡った。


蕪嶋神社で引いたおみくじには、

  「恋愛:今の人が最上」って書いてあって。


ぴょんぴょん跳ねて喜んだんだ。

皆はそんな私を見て、薄く、微笑んでいた。


私は普段占いなんて信じない。でもこの時だけは、すがりたかったんだろうと思う。



彼から一向に来ない返信に心をかき乱され。

電話じゃなくて、会って話そうと思った。

これ以上時間を消費しちゃダメだと思った。

別れたほうがいいんだなぁ、と、一週間かけて身体に染み込ませて、ちょっと泣いて、日曜日に彼と別れ話をした後は、信じられないくらいたくさん泣いた。全然ご飯食べられないし、挙げ句の果てに吐くかと思った。


でもこの涙は君が好きな気持ちを諦めなくちゃいけなくて出たのか、自分がかわいそうで出たのか、心の準備がしきれてなかったから出たのか。わかんない。


別れ話の時に、わたしの前で君が泣こうとしたから。


泣くなよっ。振ったのお前じゃん〜


って言っちゃった。

わたしの前でずっとカッコつけてた君には、

どうせだから最後までカッコつけてもらおうと思った。悔しかったんだと思う。

「一緒にいてしんどくなった」

の一言は威力大きく。今すぐ殺せ、一思いに私を突き刺せと叫ぼうか、悩んだ。


お互いに無理しあって削られ合うなんて、毛ほども恋愛ではない。友情ですらない。


でも、君が無理して作り上げた君はあまりにも魅力的だった。それは事実だ。美しかった。混ざり気のない、綺麗な作品だった。

ところで、無理しないでねと言った私も無理していた。君が開かない部分の心は、私も開く気になってなかった。

恋愛が上手くない2人だった。


「じゃあ、行こっか」

切り出したのは私だ。いたたまれなかった。



「帰り何線?」って聞いてきた。


ばっかだなぁ、私は五反田乗り換えか品川から歩けるって、何回言ったと思ってんの。

私は君が溜池山王乗り換えか日比谷線だって、バスでも最寄りまで行けるって、そこまで知ってるんだよ。

記憶力がべらぼうにいいから?そうだね

君のことが、大好きだったんだと思うわ。


「山手線ー!」


「そか」

君から早く離れたくて。早足で歩いた。

横断歩道の前で、横から知らない男が話しかけてきた。

「お姉さん、それ、ヒヨコですかぁ?」


「ポムポムプリンですよ〜」

って答えた。


「あの、友達ですか?」

彼が牽制して、追い払ってくれた。

まーたこういう、優男なことをするから、

あなたはモテるのねぇ。


私はとっさに

「ひよこだってー。ポムポムプリンなのに」

と言いながら、ポムポムプリンのパスケースのほっぺをつついた。

本当は涙が出そうだった。私たちが初めてデートしたのは、ポムポムプリンカフェだったんだから。


山手線の改札前、君があまりにも暗い顔でじゃあ、、と呟くから、

ありがとー!またのもね!バイバーイ!


って。

明るく無理して言った後、山手線の改札に駆け込み、そのまま右折してトイレに行く途中の壁に縋り付いた。

蹲み込んで、声を出して泣いた。

しとどに溢れる涙は身体全部を覆い尽くす勢いで流れ続け、不思議の国のアリスみたいに湖になってしまうかもと思った。でも現実は水溜りがポツポツ出来て、ブーツに滴が落ちただけだ。


私の中の誰かが、これでよかったんだよ。

だって私の価値は私が決めるし。

やっぱり私はすごく素敵な人間だと思うから。って。すごく優しく話してくれるから、もっともっと涙が出た。

そろそろ泣かなくて良くなってきたので、これを書いた。読んでても読んでなくても、どっちでもいいけど、ブログに書いていい?って聞いたから、とりあえず書いたぞ!


ありがと、またね