どうということもない

どうということもないけど 忘れたくない

存在していたが存在しない彼女と私


「久しぶりー!Twitterのアカウント作ってみた、よろしくね!」とリプライが来て、見てみれば同じテニスサークルに一時期所属していた女の子が、新しくアカウントを作ったようだった。

へえ、もう何年も会ってないのに、、ずいぶんと律儀なもんだな、、しかもなんで私、、と思ったが、久しく会っていない子が自分のことを覚えているというのは存外に嬉しく。私も「久しぶりだね、よろしく〜!」とリプライを返した。韓国行きたいというツイートに突然彼女も一緒に行きたいというリプライがきたりして、えぇっ、すごい距離の詰め方だなと辟易した。


それから突如として彼女からTwitterでDMがきて、他愛もない話をすこしした後に、「留学先でラインは使えないから、メールアドレスを教えてほしい」と言われ、「はぁー、そんなこともあるんだ。まあ教えとくか。」と思い、自分のメールアドレスを送った。どうやら、留学先は日本語を使う機会が少ないから日本語で話したいみたいなことを言っていた。私は思考が浅いので、そこでなるほどなー!と思ってしまった。冷静になってみると、DMできるのにメールアドレス聞いてくるのはおかしい。

下記が、存在しない彼女のアカウントとのやりとりだ。彼女がアカウントの削除をした、もしくは送信取り消ししためか、私の文章しか残っていない。

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この後私はメールアドレスを教えた。

しばらくすると彼女らしき人間からメールが届き、一緒に登録するから写真が欲しいと言われたので、自撮りの写真も送った。最初は画質が悪かったので、もっと画質が良いものをおくるように言われた。はぁ、まぁいっかと思い画質の良いものを再送。


そしてDMで、日本語で話したいから電話してもいい?ときた。電話番号はちょっとなぁ、と思っていたら、Instagramでも電話ができるとのことだったので、じゃあまあいいかと思いInstagramで電話をかけてもらうことにした。しばらくして、Instagramからビデオ電話のようなものがかかってきて、彼女の姿は特に見えなかったが、私はビデオをつけながらぽつぽつと三田祭が近くて〜とか、最近のことについて話した。

彼女の近況は大変そうだった。アメリカに留学していて、学校の課題がすごい量でつらいとか、差別もまだあるし、いいことと悪いことは半々かな、みたいなことを、つらつらと述べられた。本当に相談するテンションだったので、私も結構真摯に聞いてたと思う。「あー、なんかわかるかもなぁ。私の母も高校アメリカにずっといて、同じようなことを言ってたよ」と返したことを覚えている。

まあまあの時間話した。1時間半くらいだろうか?その間、特に何か怪しいなと思ったことはなかった。時間を聞くと即座に向こうの時間を答えてきたし、なんとなく記憶にある彼女の声より、少し声の高い女の子の声だったが、ハキハキとよく話し、就活の相談なんかもした。最後の方は話題がなくなってきて、眠かったのもあって私からそろそろ寝るね〜と言って切った。

皆さんこのブログを読んでる方はなんとなくお分かりだと思うが、私は人付き合いが苦手で、さらにいうと女の子の友達とラインしたり、ましてや電話することがほとんどない。だから、この経験は割と貴重な経験だった。こんなやつでも久々に友達から興味を持ってもらえたのは、なんとなくうれしいなあ、ほっこりしちまうなとなっていた。今考えると本当に馬鹿である。こういう私みたいな奴が、優しくしてくれた人にまんまと騙されたり、詐欺に遭うんだと思う。


結論を言うと、彼女は存在しなかった。


いや、彼女のフリをした、誰か他の人間。

それも女の子か男の子かわからなかったのだ。

声の主は確実に女の子だったと思うし、絵文字の選び方もかなり女の子寄りではあったので、私は彼女のふりをした人物は女の子なのではないかと踏んでいる。


「勝手になりきられて、Twitterも作られて、いろんな子にDMして、電話番号とか聞いてたらしい!これ、私じゃないよって伝えたくて…」と、先日、当人からまさかの連絡が来たのだ。あの日以来、何度か電話を打診されていたが、時間が悪かったりして、2回ほど断っていた。その連絡が来る前の日も、電話しようと言われて、instagram、使えなくなったから友達のアカウントから電話してもいい?と聞かれて、そんなわけあるかーい!!これは本人ではないな、という疑念が78%ほどに膨れ上がっていた。しかし残りの22%は? そう、信じていたのだ。

私だけではなく、他の女の子にもDM送っていたのか、とちょっと落胆するほどには、なりきり犯に絆されていた。


しかしなぜ?なぜ彼女はそんなことをしたのだろうか。

彼女は電話で、あまねは細いし羨ましい、最近の動画見たよ、Twitterに載ってたやつ。と仮装していた時の私のダンス動画に触れて、かなり繊細げな様子で私はすぐ太っちゃうから…と述べるので、私の警戒心は溶けて揺れた。

もともと私は彼女のことをほとんど知らなかったし、SNSでしか見かけなかったので、彼女は堂々としていて素敵な人だなと考えていた。そこからそんな風に悩ましげな告白をされると、そんな一面も持っているのか…と絆されてしまった。

それは存在しない彼女自身の本当の悩みだったのだとしたら、私はいつでも相談に乗るし、純粋に褒めてくれたのがとても嬉しかったから、誰かのふりをしてしまったことなんて気にせず、私にいつでも話しかけにきてほしいと、そう思っているのだけれど。この想いが、本当の姿のあなたに届くことなんてあるのだろうか。

ここはあなたの見える場所なのだろうか。

見えるのはいいことなのだろうか。

見えないのは悪いことなのだろうか。

冬の寒い風が、空いた心の隙間に響く。

つまり、私はあなたが存在しなかったという事実が、寂しくて仕方ないんだと思う。


だめだ、エモい感じで締めようとしたけど、メールアドレスと写真ぶんどられてるし、安心はできません。皆さんも騙されないように気をつけて生きていきましょうね、これはマジ。


ではまた


amane